辻四郎氏工房に行って来ました。
2005年8月2日から3日に、ギター製作家として有名な辻四郎氏の工房におじゃましました。
場所は、富山県の山あいで、世界遺産に指定されている五箇山合唱集落の近く、大自然の中ののどかなところです。
自宅横にある工房で、製作活動を続けていらっしゃいます。
もともと、自宅二階で作業をされていましたが、二年前に家族の関係で、現在の工房を建てられました。

大自然に囲まれた工房には、周りからは自然の音だけが耳に入る、とても贅沢な空間です。
工房は二階建てで、7坪ほどの作業場と塗装ブース、乾燥ブース、製材場となっています。
個人製作家の工房らしく、ほとんど機械が無い机で、シンプルな工具があるだけです。
一本ものの製作がほとんどのため、大きな機械や型は無く、その都度、手作りで仕上げるとのことでした。


現在製作中の楽器の中でも、ユニークなWネックマンドラギターです。
すべて、手作りですので、このような世界で一本の形でも自在に作れます。


夜は、宿泊した温泉で夜遅くまで、御自分の体験や現在の状況をお話いただきました。
ちなみに、酒がメチャクチャ強く、胃潰瘍になったよと笑いながら地酒をかなり飲まれていました。


辻四郎氏のプロフィールを紹介します。
年齢は、今年10月に60歳を迎えます。
15歳のときに、同郷の関係で京都の茶木弦楽器に就職、当時は師弟関係が厳しく、職人としての鍛えられたとのことでした。
12年間勤務のあと、郷里富山に戻り、独立。
当初は茶木の特注品を中心にチャキブランドの楽器を製作されていました。
それまで、GIBSONの楽器が最高と信じて製作されていましたが、アンジェリコギターに出会い、考え方が一変し、ダキスト、アンジェリコの研究を始められました。
T&JOODEEは、そうして完成した自信作で、この楽器が縁で、現在の評価を得られたと言えます。
その後、自分のブランドで、アーチトップアコースティックはもちろん、フラットトップも製作してこられました。
また、ツムラコレクションのメンテナンスをはじめ、有名コレクターの修理にも力を注がれています。
現在は、製作のかたわら農業にも従事し、地元の郷土芸能にも精通していて、郷土芸能保存会として若い人達の指導にあたられています。
地元高校の保存会では、有名なコキリコ節で、全国代表として国立劇場で演じるそうです。
その人柄からか、地元の名士として多数のイベントに参加されており、かなり多忙のようでした。
お話すると、大変人が良く、それでいて職人としては自信に満ちた感じでした。
今回は、当店のために、フラットトップギターを製作していただくことになりましたので、出来上がりが楽しみです。
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