2007年4月18日コリングス工場見学
テキサス州オースチンにあるコリングス工場です。
日本の正規輸入代理店であるトーラスコーポレーションの中村社長のセッティングです。ありがとうございました。
精密で美しい仕上がり、テンション感のある素晴らしいサウンドで、アメリカのギターの中でもダントツのクオリティーを持つ楽器を製作する工場には、前から大変興味があり、今回、セッティングしてくれた中村社長には、大変感謝しています。
 
ビルコリングス氏とのツーショットです。
コリングス氏は驚くほど気さくでハイテンションなおじさんで、正直戸惑ってしまいました。
頑固な職人というイメージとは全く正反対で、冗談を飛ばして大笑いしていました。
右の古い車の残骸は、コリングス氏の趣味で、あちこちに車やバイクの残骸がいっぱいありました。
自宅にもビンテージカーが多数あるとのことで、次回はぜひ乗らせてもらいたいところです。
  
新社屋入り口にある会議テーブルはハカランダにアバロンバインディングされた特別製作もの、これはすごい。
工場のアチコチに古いバイクや車の残骸がゴロゴロあります。製作規模の割りに大変大きく広い工場に驚きました。
工場内は、一年中シーズニングされており、精度を保つようになっています。
  
材料の保管も、かなり大量にストックされています。
製材前の大きな材の状態で仕入れて自然乾燥されているものが多く、かなりの量です。
  
写真上左、サンタクルーズでも見られた強制乾燥ルームは、ほとんど同じ感じです。 案内してくれたのは、スティーブ氏で、現在の工場責任者です。
  
上左、機械でネックを削りだすルーティングマシンですが、これはおおまかな削りのみで、この後、職人さんの手によって丁寧に仕上げられます。
  
サイド板の整形も型で整形しますが、上の写真のようなコテに当てて、型にピッタリになるまで細かく修正して形を整えていました。
上右、ルーティングマシンでマンドリンを削りだしているところ。
やはり、仕上げは職人さんの手で丁寧に作業されていました。
コリングスでは、おおまかな形までを機械で行い、その後を手作業で精密に仕上げるパターンで、大変合理的ながら、個人ビルダー以上の精度を確保していることがわかりました。
  
アメリカではマンドリンが大変売れているとのことで、工場でも結構見られました。
ブレイシング接着は、かなり原始的な手法で、こういう部分も品質に影響すると思われます。
  
メインのXブレイシング以外のトーンバーはプレス接着で、このあたりも合理的だなあと感じました。
ブレイシングの削りは、かなり時間をかけて、一本一本を精巧に仕上げています。
  
上左、コリングスのネックには、アジャストロッドのほかに、両側にスティールの板が縦に入っています。
質量を重くしないで、共振しない狂いの少ないネックに仕上げていて、今回、初めて知りました。
加工には、色々な型にサンドペーパーを貼り付けて、丁寧に磨きながら仕上げられます。
音を決定付けるトップ板やブレイシングだけでなく、すべての箇所を丁寧に精巧に手間をかけていることに、感嘆させられます。
  
塗装前の磨きにも大変な時間と手間をかけています。
特に、コリングスの楽器は隅々までエッジの立ったデザインのため、かなり大変なようです。
  
塗装は下塗りから中塗りまで、工程が多く磨きにも時間をかけていました。
仕上げはUV塗装で、紫外線で固まる塗料を採用しています。
バフ作業には、マスクもしていなくて、健康面は大丈夫?と少し心配しました。
  
何度も塗装チェック、修正、磨きが行われており、仕上げ調整にも時間がかけられています。
 
今回、お客様のカスタムオーダーのために材を選定させていただきました。
トリプルAランクのハカランダ、アディロンダックベアクロウを見せてもらい、キープしました。
  
ハカランダカスタムの製作をお受けできますので、製作ご希望の方には、選定したトリプルAグレードの材の写真から選んでいただけます。
当店ホームページのカスタムショップもご覧のうえ、ぜひご連絡ください。
トーラスさん分で、かなり良い材を確保しています。
 
お昼にバーベキューをご馳走になったあと、同行の武田さんと中村さんの三人でゴルフを楽しみました。
サマータイムのため、夜8時頃まで明るく、綺麗な夕焼けの中でのゴルフは、また格別でした。
写真でわかるように、アメリカのゴルフ場の多くは、大変ラフでカジュアルです。ジーンズにアロハ、普通の靴でも全く問題ありません。
現在、コリングス工場には69名が作業しており、5人で製作していた当初に比べて、大変大きな会社に成長しています。
しかし、製作精度は、当初の工房時代から落ちることなく、合理的な手順と職人の手数でニーズに応えながら、精度をキープしています。
広く広大なスペースの割りに、機械化はほとんどされていなく、機械で作業した部分も、その後に職人の手によって精巧に仕上げる工程で、現在も驚くような緻密で精巧な仕上がりの楽器を製造していました。
ビルコリングスのこだわりを、従事しているスタッフがそれぞれ実現して、素晴らしい楽器を生み出しています。
アメリカンアコースティックのひとつの完成形と言える楽器で、今後も当店ではお勧めして行きたい楽器です。
|
|
|
|